エアカランは、経済発展と社会進歩の推進役として、長年にわたりニューカレドニアの観光産業の発展に寄与してきました。ニューカレドニアにとって重要な人と物の輸送を担いつつ、ニューカレドニアの自然や豊かな生物多様性の保全に努め、環境への負荷を最小限に維持することと両立させています。
環境負荷の低減
当社のSDGsへの取り組みは、以下に掲げた4つの目標を通じて、環境負荷の低減に重点をおいています。
1.二酸化炭素排出量の削減(Reduce our CO2 emissions)
新型機エアバスA330neoとA320neoの導入による保有機材の刷新
2019年から2023年にかけて、長距離路線にエアバスA330neo2機、中距離路線にエアバスA320neo2機を新規導入し、現時点で最高レベルの環境性能をもつ次世代航空機を運航しています。これら最新機材の導入によって、1席あたりの燃料消費量と二酸化炭素排出量を約15~20%削減できます。
最適化されたオペレーションのための対策
燃料消費量および二酸化炭素排出量をさらに削減するために、整備手順の見直し、エコパイロット/グリーンオペレーション(フライトプラン、燃料最適化ソフトウェア)の導入、機材の軽量化(超軽量カートやコンテナの使用、デジタルプレスの導入による紙媒体の廃止)など各種対策が継続的に実施されています。
2030年までの目標:2019年比で1席あたりの二酸化炭素排出量の25%削減
この目標値は、従来の航空燃料(A1ケロシン・ジェット燃料)と比較した場合、二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を最大80%(ライフサイクルを通じて)削減する「サステナブルな航空燃料(SAF*)」の開発に基づいたものです。この「サステナブルな」燃料をアジア太平洋の運航路線で利用するべく、複数のサプライヤーと連携し、早ければ2023年からの運用開始を目指しています。
目標:2030年までに当社航空機に15%のSAFの導入を実現する
* サステナブル航空燃料(SAF)とは?
SAF(Sustainable Aviation Fuel)は基準と持続可能性への配慮を満たした航空燃料のことです。基本的には有機廃棄物(使用済み食用油、木材残渣)などの非化石資源から作られ、食料資源(農地利用を目的とする)や林業資源(炭素吸収源を目的とする)と競合してはならないとされています。
2.環境補償への貢献(contribute to environmental compensation)
エアカランはフランス国籍の航空会社として、ICAO(国際民間航空機関)が導入を決定し、IATA(国際航空運送協会)によって推進される国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキームCORSIAプログラムに2020年より参画しています。
2024年に第1フェーズが発効する当プログラムは、各運航会社が定められたルールに基づき、必要量の排出枠を購入し、世界的な炭素排出量の増加をオフセットすることを目的としたスキーム(炭素クレジット)です。
現在、フランス(ニューカレドニア、フランス領ポリネシアを含む)、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、バヌアツなど、115カ国がこの制度の対象となっています。
航空会社は、ネットワーク全体から排出される二酸化炭素の詳細を記した報告書を毎年作成し、IATAの認定機関による審査で認証を受けます。エアカランの場合、報告書は公的機関であるDGAC(Direction Générale de l'Aviation Civile:フランス民間航空局)に送付され、事業者ごとにオフセットすべき補償額が決定されます。
未来への展望: ニューカレドニアにおける環境貢献プログラムへの参加
国際的NGO「Green Cross France et Territoires(グリーンクロス・フランスおよびその領土)」は、環境貢献を目的としたマルチステークホルダー(複数の利害関係者)による協会を設立し、ニューカレドニアの陸と海いずれの領域に関わる生態系補償プロジェクトを支援していきます。
フランス国内に設立された後(2023年予定)、ニューカレドニアにおける農業・林業、マングローブ、サンゴ礁の3分野での事業補償プロジェクトや、環境に配慮した改革を資金面で支援することを目的とし、エアカランはこの協会への参加を予定しています。なお、当プロジェクトは、第三者による検証(認証、ラベリング、監査など)を受ける予定です。
3.サステナブルな消費(sustainable consumption)
機内でのリサイクル製品使用の促進
2018年以降、エアカランの機内ではリサイクル可能な素材やリサイクル素材、さらには植物由来の製品の使用を促進し、プラスチックや使い捨て包装の削減に取り組んでいます。
導入済みの具体例をいくつかご紹介します。
- プラスチックカップを堆肥化可能な植物由来のコーンスターチカップに変更しました。
- ホットドリンクのカップは段ボール製です。
- エコノミークラスとプレミアムエコノミーのカトラリーと包装は100%堆肥化できるようになりました。
- 調味料パックは100%堆肥化可能です。
- ヌメア出発便のブランケットの包装材料には、生分解性素材が使われています。
- 免税品の袋を紙袋に変更しました(規制対象となる液体物の包装を除く)。
- スナックを入れるバスケットは紙製で、持ち手部分は植物性素材から作られています。
- 最近導入したランチボックスは、部分的にリサイクル可能な紙製です。
- プレミアムエコノミーのアメニティキットは布製です。コーンスターチから作った歯ブラシが入っており、プラスチック製のパッケージもありません。
- エコノミークラスのアメニティキットは、リサイクル可能な紙で作られています。
- プレミアムエコノミーとエコノミークラスのアメニティキットでプラスチック包装は廃止されました。
これらの対策により、すでに年間25トンの汚染廃棄物が削減されています(通常運航時)。
廃棄物対策
エネルギーと消耗品の消費を制限するために、当社ではいくつかの対策を実施しています。
2022年から、本社とHAGP(整備用格納庫)の照明を低エネルギー(LED)のものに切り替えています。2023年末までにすべての照明を切り替える予定で、その結果、電力消費量の30%~40%削減を見込んでいます。
全従業員に対して、エネルギーや消耗品の廃棄を抑制するための習慣(照明やパソコンの電源を切る、空調をこまめに調節する、印刷しないなど)に関する告知を実施しています。
エアカランは、CCI(商工会議所)が設置した「Circuit Pro」端末を利用しています。この事業者専用プラットフォームでは、商品や備品(中古家具など)の交換、販売、貸出、寄付を行うことができます。
廃棄物のリサイクル
さらに、リサイクルや廃棄物の選択分別にも取り組んでいます。具体的なアクションをいくつかご紹介します。
TRECODEC(廃棄物管理を担当する地元のエコ組織)と連携して、使用済みのユニフォームをリサイクルしています。2020年には約300着の制服が生まれ変わり、第二の人生を歩んでいます。
- また、古紙(本社では廃棄物の半分近くを占める)と使用済み電池は、指定されたゴミ箱による回収システムを確立しています。
- IT関連のハードウェアを交換する際に、使用済みだがまだ機能する機器(CPU、スクリーン、キーボード、マウス)の一部を複数の協会に寄付し、他のユーザーのために役立てています。
未来への抱負
これらの対策は現在も進行中で、当社の営業およびロジスティクスチームでは、特に商業航空における食品衛生(包装)およびセキュリティ(安全性のための保護)の面で必要な規制や制約を遵守しつつ、より環境負荷の低い代替品に置き換える取り組みを実施しています。
エアカランは、機内廃棄物(アルミニウム、プラスチック、ガラスなど)の効果的な選別作業を目的に、ケータリング会社および空港当局の協力の下、実現可能性に関する調査を進める予定です。
4.生物多様性の保全と保護への貢献(contribute to the preservation and protection of biodiversity)
エアカランは、国内外でこの取り組みを支援しています。
野生生物の違法取引との闘い
- 2018年には、違法な野生動物・製品の輸送を禁止する「バッキンガム宮殿宣言」に調印しました。この世界的な取り組みは、「野生動物保護連盟特別輸送委員会(United for Wildlife Transport Taskforce)」として知られ、絶滅の危機に瀕した世界中の生物種(動物および植物)の違法な輸送を対象としています。この宣言に調印することで、ニューカレドニアの卓越した生物多様性の保護と保全への積極的な参加を表明しています。
- より具体的な行動を起こすために、WWFフランス(ニューカレドニアのWWF事務所も関与)が2022年に開始したこの取り組みに参加しています。2023年には、啓発活動、情報提供を目的とした説明会、リスクマネジメントのためのアクションなどが予定されています。
野生生物の違法取引撲滅
- 2018年、弊社は保護種の輸送に反対するバッキンガム宮殿宣言に賛同しました。野生生物輸送タスクフォース連合として知られるこの世界的な合意は、絶滅の危機に瀕した野生生物種(動植物)の違法輸送を対象とするもので、種(動物または植物)の違法輸送を対象としています。エアカランはこの署名を通じて、ニューカレドニアの類まれな生物多様性の保護と保全に積極的に取り組むことを表明します。
- この分野で具体的な行動を起こすため、エアカランは WWFフランスが2022年に開始したイニシャティブに参加しています。 (このテーマについてニューカレドニアのWWF事務所が関与)2023年には、啓発活動、説明会、リスク管理活動が予定されています。
環境ステークホルダーとのパートナーシップ
- パリの「国立自然史博物館」と2016年から2018年にかけてパートナーシップを結び、「La planète revisitée」プログラムの一環として、ニューカレドニアにおける主要なナチュラリスト向けのミッションを開催。この支援は、次の2023年~2024年のキャンペーンでも開催が予定されています。
- .2019年のジュゴン・センサス・キャンペーンのための「Conservatoire d'espaces naturels」とのパートナーシップ
- 珊瑚海自然公園のドキュメンタリー「Mer de Corail, la forêt primaire de l'océan」を制作するため、2020年にはフォトジャーナリストのAlexis Rosenfeldとパートナーシップを締結しました。
- 2020年6月11日から19日までマルセイユで開催された生物多様性に関する世界会議に参加するため、「Dayu Biik」協会とパートナーシップを締結。協会は絶滅危惧種でありニューカレドニアの固有種である「パニエ山」のヤマカガシ保護活動を監督しています。